厚い雲に覆われてまったく見えなかったハレアカラ火山が一瞬の雲の晴れ間にぽっかりと姿を現した時、空に向かって一番高い3つの頂上は真っ白な帽子をかぶっていました。
(ハレアカラ火山:マウイで一番高い山。標高約10000フィート=3000メートル)
2008年1月29日、ハレアカラの山頂に雪が降りました。
前回ハレアカラ山頂に雪が積もったのは2002年1月、その時私は日本の関西空港のホテルにいて、マウイに電話をかける度に”雪が降ってるよ、It is so beautiful !”と全員の人から興奮気味に言われたのでよく覚えています。

マウイの冬は、タンクトップを着ている夏に比べるとだいぶ気温は下がり、特に朝晩は冷えるな〜という感覚なのですが、 これはここに住んでいる人の年間の温度比較に対する感覚であって、日本やアメリカ本土やヨーロッパなど本当の厳寒な冬を過ごしている人々からしてみれば、まったくもって甘やかされた冬をおくっています。マウイは冬とはいえ、通常晴れていれば日中は27度位まで気温はあがり、朝晩気温がさがってもせいぜい18度、半袖だとちょっと寒いから一枚長袖着ようかな、夜はジーンズをはいてでかけたほうがいいなという程度、昼間はもちろん半袖で十分といったところです。昼間は海水浴もオーケー、ただこの時期トレードウインド(北東の風)が吹くとはるか彼方の寒気を含んでいるので体感温度が寒く、曇りが続いていたりすると海にはいるにはちょっと寒いけれど、それでもウインドサーファーやサーファーやローカルにとっては海で遊ぶには十分の暖かさで、よほどの悪天候や高波警報でなければ、海から人がいなくなることはありません。
マウイの冬の特徴のひとつは、次々と High Surf Advisory(高波注意報)や High Wind Advisory(強風注意報。この時期は主にはハレアカラ山頂によくだされる)がでて、雨が続くと当然のことながら Flood Advisory(洪水注意報。主には山間部や渓流)がでます。このあたりまではいつものことで、特に High Surf Advisoryはサーファーやウインドサーファーにとっては逆にうれしい知らせとも言えます。

さて、その日は Winter Weather Advisoryが出されました。日本語だと寒冷注意報とでも言えばいいのでしょうか。ハレアカラ6000フィート以上(約1800メートル以上)が厳寒になる為、冷たい雨または雪になる可能性あり、1〜2インチ(2.5センチから5センチ)の積雪の可能性あり というものでした。
さすがにその日は下界の海のそばにいるというのに寒く、ジーンズと長袖一枚でも全然間に合わないほど寒い日でした。毛穴がすっかり 開ききってしまっているせいか、何の予告もなく突然寒くなられても身体が素直に順応できず、マウイでこんな寒いはずはない!という抵抗と疑いの気持ちだけがつのり、寒くて思考も働かなくなってきます。暖かいお茶を飲んでも、暖かいシャワーをあびても、一時的なものですぐまた寒くなります。 運動熱が一番暖かくなるはずと思い、子供のおやつをかねてパンづくりをはじめ、15分もパン生地をこねているうちにやっと汗がでてきて、なんとか寒さをしのぎました。
その日の夜は息子のカイのバスケットボールの試合がマカワオで午後7時30分よりありました。マカワオはアップカントリーと呼ばれるハレアカラの裾野の町で標高1600フィート(約480メートル)、明らかに海のそばとは気温差があり、夜になって気温も下がり雨も降り始め、体育館にはいってくる冷たい空気に、ジーンズとカーディガンの私は途中から震えはじめました。観客席を見渡すと、さずがに今日はみんな完全防寒対策で長袖長ズボンです。同じチームのジョシュのママは4枚位重ね着をしてコロコロに太っていて、手もポカポカです。 私が冷えきった手をさすりながら、”寒いけど、服もってないんだよね”と言ったら、親切にも貸してくれそうになりました。 私の主人は、手が冷たいとバスケットもできないのではないかと思い、昼間手袋を買おうと探しまわったそうですが、どこにも売っていなかったそうです(当たり前。常夏の島で手袋必要ないでしょ)。するとその試合会場の体育館で約1名手袋をしている人がいて、どこで入手したか聞きたくて聞きたくてしょうがなくなりました。
翌日1月30日も寒く、寒さ対策の為にまたせっせとパンをこねました。今日は2日目なので、寒いぞ〜という心の準備もできているし、すでに警戒している分、昨日ほどの毛穴全開状態による順応不良ショック状態までは行きませんでした。そして今頃になって、主人のウインドサーフィン専用車には冷房も暖房もついていないけれど、私の車にはなんと暖房がついていることを発見し、暖をとったのでした。

ハレアカラ山頂の雪は結局最高4インチ(約10センチ)積もりました。雪の降った1/29と1/30はハレアカラナショナルパークは雪路および氷路で滑るため閉鎖でしたが、1/31は10:00a.m.-3:00p.m.の限られた時間だけ開園、この間に訪れることができたローカルの人々は雪の感触を束の間楽しみました。学校の子供たちに見せるために、クーラーボックスにつめている人もいました。

マウイでの寒さ体験、いままでの13年間で一番寒かったと思います。 例年1月はトレードウインド(北東の風)が吹く確率が42%のところ、今年は90%吹いており(ウインドサーファーにとってはうれしい限りでした)、はるか遠くの寒気が流れこみ続け、冷え込んだそうです。冬は普通は半分以上コナウインド(南西の風)で、体感温度も寒くないことが多いのです。

さて以上随分大げさに寒そうに書きましたが(本当に寒かった)、でも気温的には最高気温22度、最低気温15度 ー これ聞いたら、北半球の冬を過ごしている人々からは”ぜいたくだ!”と怒られるでしょう。 そうです、本当に毛穴が開ききった甘やかされ状態です。半袖シャツでないと、どうもいつもの調子がでません。
(ちなみに積雪があったハレアカラ山頂の気温は最低気温マイナス6〜7度、雪が止んでからは2度前後。)

白い帽子をかぶったハレアカラを拝めたのはほんの2日間だけで、雪はすぐ溶けてなくなってしまいました。一瞬の雲の途切れた空にうかぶその様子は、誰かに真っ白な毛布をかけてもらったみたいな暖かそうにさえ見えるすごく美しいハレアカラでした。

snowカフルイの町から見たハレアカラ
頂上が白い雪でおおわれています


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マウイニュース(新聞の記事と写真)
 

by Yoko, January 2008