学校対抗小学生のバスケットボールリーグ、やっぱり”母校”を背負うと自然と皆燃えるようで、試合のたびにプレイヤーもコーチも応援も皆熱くなります。普段から学校生活を共にしている仲間ですでにお互い知った顔ばかりだから結束も早く、毎試合ごとにいざ出陣といった勢い。当然どこのチームも勝ちたい!わけで、こんなに走ってこの子たち疲れないのかな。。。というぐらい、ドタバタドタバタとプレイしています。コーチはコーチで血管きれちゃうんではないかと心配してしまうぐらい怒鳴っていることもあるし、応援席の両親たちは毎回毎回心臓ばくばくしながらの観戦です。

 

昨年はまだ3年生だった娘レイは当然のことながらいわゆる2軍ホワイトチームでしたが、今年は当学校の選抜ブルーチームにはいりました。しかしながら、スターティングラインナップ(日本語ではレギュラーと言うのでしょうか)ではありません。いわゆる補欠(英語ではSubサブ=Substitute, ちなみにBench Warmerなんて言うこともありますがこれは試合に全くでられないプレイヤーを見下した言い方だと思います)です。チームは8人、内訳はすばしっこい5年生男の子1人、身体も大きくスポーツ万能な5年生女の子1人、バスケット好きな4年生男の子1人、バスケットは初めてだけれど運動神経がいい4年生男の子1人、身体が大きな4年生女の子1人、ここまでの5人がスターティングラインナップ、背は高いけどちょっと気が優しい4年生男の子1人、バスケットの経験はあるけど身体がまだ小さくて華奢な4年生女の子2人、この3人がサブ(補欠)です。コーチは2人、私はプレイヤー何人かをまとめて学校から会場となるジムまで連れて行く運転手。

 

最初の2試合は第1ヘッドコーチが指揮をとりました。試合に勝ちたい、そうするとどうも華奢な女の子よりも、すばしっこくてタフな男の子をコートにいれておきたくなるから、自動的に補欠3人のプレイ時間は最小限。指示はスターティングラインナップのプレイヤーばかりにだし、補欠は形だけ仕方なく最小限の時間だけコートにいれているというメッセージが見え見え。補欠の3人はだんだんゲームからもチームからも置き去りにされているような気分になってたのは明らかです。でもこういうのはスポーツの世界では仕方ないし(ちょっと小学生レベルにはタフだけど)、親が否定的になってはいけないと思い、私は娘に”勝ってよかったね!”と言いました。”うん、でも私とマリアはもう1回だけシュートをトライしたかったな”と娘は言いました。まだ9歳の時点にして、補欠というポジションになるのも、チャンスさえ与えられないのがちょっとかわいそうな気がしました。
(ちなみにこの小学生バスケットボールリーグは、各チームのコーチの方針によりプレイヤーの使い方はさまざまで、10人プレイヤーがいるチームなどは5人づつのチームに分けて、メンバーチェンジは5人全取っ替えで均等の時間プレイするところもあります。ただ、このパターンだと上手なプレイヤーも引っ込めることになるので、たいがいそのチームの勝率は悪いです。勝ちにこだわるか、プレイヤー全員公平にプレイさせて負け数をふやすか、いずれにしても何をやっても誰かしらに不平を言われるコーチは大変です。)

 

さて、3試合目からは第2ヘッドコーチ(第1ヘッドコーチは別の仕事と重なり不在のため)が指揮をとりました。チームもなんとなくそれぞれのポジションや役割りが固定しつつありまとまってきています。でもやっぱりサブ(補欠)はサブ。今日は試合までに少し待ち時間があったので、コーチはプレイヤーを集めて作戦会議。それぞれのポジションのプレイヤーに、試合中にそのポジションでやるべき仕事や動き、チームメートとの連携プレイをひとつひとつ確認していきます。そしてちょっと意外なことにその確認作業はサブ(補欠)3人にもまわってきました。”サブのレイとマリアとジャックはコートにはいったら、フォーワードポジションだからディフェンダーをふりきって、逆サイドのフォワードとスイッチして、パスをもらえるようにオープンになるんだよ。あとサブもスターティングも全員、ディフェンスの時は必ず両手をあげてディフェンスし、絶対に相手チームに楽にシュートをうたせないこと!” ホワイトボードにポジションと動きをわかりやすく図式で示しながら説明していました。ーーー

 

ーーー今日の試合はサブの3人は限られた時間ながらも、とても楽しそうに一生懸命プレイしていました。まるでこのあいだの試合とは別人のよう。

 

ベンチに座っていても、コートにはいってから自分がやるべき仕事のイメージができていたから。
自分が与えられている役割が明確だったから。
自分がチームの一員として必要とされているというメッセージをコーチから受け取ったから。

 

子供の反応はとてもわかりやすく、今日の試合での3人のサブ(補欠)の”やる気”は、まるで魔法がかけられていたようでした。
ほんの少しのコミュニケーションをするだけでこんなに変わっちゃうなんて、まさにマジックです。
サブ(補欠)にメンバーチェンジしても、チームのエネルギーレベルは変わらず、すごく強いチームでした。
試合が終わったあとコーチはサブ(補欠)3人にも、"上手にプレイできてたよ”と声をかけていました。

 

英語の挨拶の決まり文句、"Hi, How are you ? "(こんにちわ、元気? うまくいってる? 調子はどう?)、このHow are you ? という言葉は相手 (you) のことを思いやる最も簡単で日常的な言葉、"How are you?" と挨拶すると、"Good, Good, How are YOU ?"と返ってくるから、こちらも "Good, thank you."と返す。例えお決まりの挨拶でも、自分が気にかけられていると感じるとうれしいものです。

 

コミュニケーションをとるということは、相手に関心がある、相手を大切に思っているというメッセージ。
挨拶だけでもいい、目があったらニコっとするだけでもいい。今日会う人に、ちょっと自分の時間を止めて、相手のことを思ってみよう。ほんの少しのコミュニケーションが、私の人生ゲームに小さな素敵な魔法をかけてくれるかもしれない。

coach
 

(文中の人称は仮名です)

 

 

by Yoko, March 2006