毎年夏カナハビーチパークで行われる恒例のタコ捕りコンテスト(タコ=8本足の海のたこのことです)、制限時間内で一番重量の大きなタコを捕獲することを競うローカルイベントです。

Tako contest 1海から捕れたてヌルヌルの大きなタコを素手で持ち見せびらかしている人の写真が、その日のマウイの新聞マウイニューススポーツ欄トップ記事。(昨年2008年8月の記事です) 大きな写真の隣には、北京オリンピックでの第1戦目400メートル個人メドレーで世界新記録をだし1つ目の金メダルをとったマイケルフェルプスの記事(注釈:マイケルフェルプスは最終的に北京オリンピックで8つの金メダルを手にし、オリンピック1大会で最多金メダルをとったのも世界記録。4年前のアテネオリンピックでは6つの金メダル、オリンピック通算で1個人14の金メダルも世界最多記録。)。 
しかもそのレースはブッシュ大統領も観客席で応援していたレースであり、アメリカ中のその日の最大の話題であった日。"Phelps starts quest with world record"(フェルプス、世界新で金メダル集めをスタート)という大きな見出しはついていますが、、、写真はタコ捕り写真に比べるとまったくもって小さく、アメリカの世界水泳のスーパースターには大変申し訳ないのですが、完全にマウイローカルのタコ捕り記事に話題をさらわれてしまっています。

マイケルフェルプスの横で、タコをわしづかみにしている写真がすごくミスマッチでおかしくて、新聞を見ながら笑っていたら、私のダンナが横で、”そのイベント、マウイウインドサーフカンパニーがスポンサーしてるんだよ”なんて言っています。”ウッソだね、また笑わせようと思って、ウインドサーフショップとタコ捕りじゃ全然関係ないじゃーん!” ”ウソじゃないよ、本当だよ” ”ウソだね〜、ウインドサーフショップがタコ捕りのスポンサーしてどうするのよ!?”と絶対に信じない私。Tako contest 3


普段はウインドサーファーが集まるカナハビーチパークで早朝行われた第21回タコ捕りレースには、(以下は新聞記事による情報です)543人が集結、その内479人がタコ捕り(潜水して銛で突く)またはオアマ釣り(浅瀬にいる小さな白い魚を釣り竿で釣る)のコンテストに参加しました。タコ捕りにエントリーしたのは267人、スタート時間より2時間30分の間に61人が計83のタコを重量計にもってきました。優勝者はカフルイ在住ガス会社のトラック運転手であるジェイソン、4ボンド12オンス(約2キロ136グラム)は大会新記録とのこと。潜ってからわずか15分で捕獲したこの優勝タコは、第2位の4ポンド11オンス(約2キロ108グラム)のタコが重量計で計測された直後に計測され、会場はとても盛り上がったようです。 

Tako contest 2オアマ釣りは普通の釣り竿を持って膝丈から腰丈ほどのあたりの深さまでざぶざぶと海へ入り釣ります。こちらのコンテストは12歳以下の子供クラスは116人がエントリーし、優勝オアマは14センチ7ミリ、13歳以上のクラスは160人がエントリーし14センチ4ミリが優勝です。 オアマは小さな魚で、大物を釣る時のエサになります。オアマを釣るときのエサは、エビやアクという魚の卵を使ったりさらにはオアマ自身を使ったりと、コンテストに勝つため各人それぞれ作戦をたててのぞみます。タコ捕りコンテストの最年長者は85歳のタカキミノルさん(日系人)、70年間も潜っており今日は約90メートルほど沖で2ポンド6オンス(約1キロ68グラム)のタコを捕獲したそう。とにかく大きなタコを捕獲したいが為に、ずっとタコ捕りコンテストに参加しつづけているとのこと。 わざわざオアフ島からこのコンテストに参加しに来ている人もいます。

こんなとってもローカルなタコ捕りコンテストは、実は実はマウイのウインドサーフショップ中心に運営されているMaui Boardsailing Association(マウイボードセイリングアソシエーション)が100%スポンサーしており、参加者は無料でエントリーでき、優勝トロフィーやTシャツにスナックなどすべて無料というローカルファミリーにとってはとても楽しいファミリースポーツイベントです。

かつてはサーファーとフィッシャーマンだけがいたマウイの海に、1980年代突如新しいスポーツであったウインドサーフィンがはいってきた頃、マウイボードセイリングアソシエーションとローカル団体が、海を平和に友好的に共有する為の話し合いをしました。カナハビーチパークでは午前11時まではフィッシャーマンに海を全面的にゆずる為、ウインドサーフィンは出艇しないというローカルルールをつくったのもこの頃です。(ただし、カナハビーチの一番風上の限られた区域で行う初心者レッスンだけは例外です)
その友好的な証として、今でもこのイベントにウインドサーフショップの団体が100%スポンサーをしているのです。

数日後、我マウイウインドサーフカンパニーの事務机でたまたまマウイボードセイリングアソシエーションからの手紙を発見、その手紙には、タコ捕りコンテストがあまりに盛況だった為、Tシャツが足りず追加注文しなければならないので追加資金の協力をお願いしますと書いてありました。

”このスポンサーシップ、けっこうずいぶんおおごとになってるんだね〜” ”昔からあるウインドサーフショップはずっと協力してるんだよ。このスポンサーだけはたとえ広告予算がなくてもやめられないんだよ” 

普通スポンサーシップというのは直接的なビジネス広告やプローモーションあっての関係であることがほとんどですが、ウインドサーフショップ=タコ捕りコンテストは土地とローカル文化の共有を象徴する友好スポンサーシップです。 

カナハビーチパークは何年経ってもウインドサーファーにとっては最高のゲレンデ、いつもここでウインドサーフィンをするたびに、いつもここで太陽と風を感じながら昼寝をするたびに、ここは本当に世界で一番最高な場所だと思います。 

ウインドサーフィンをして海から最高の気分であがってくると、知り合いのハワイアンファミリーが海辺で砂と波にまみれて遊んでいました。
"おっ、また今日もいるね!"的な合図を目と笑顔で交わし、"Here is the BEST backyard in the world !"(ここは世界で一番の庭だね!)と叫んでしまいました。

こんなに最高な場所をウインドサーファーたちにも共有させてくれて本当にありがとうと、神聖なる土地にもそしてタコにも感謝感謝です。

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