5月の末、娘のレイは学校のウクレレバンドの演奏旅行でカリフォルニアのディズニーランドへ3泊4日の旅行へでかけました。 ちょうど4月末頃からあまりにもタイミングよく豚インフルエンザ騒ぎが起こり、”この旅行はどうなるの???”という心配はありましたが、結局旅行は決行され、ある1人を除いて、誰も取りやめることなく全員参加しました。

日本の学校だったらきっと中止になっていたかと思います。マウイで初の新型インフル感染者がこのウクレレ演奏旅行からでる可能性は十分にあったし(マウイの新聞の一面トップ記事になる!?)、マウイとカリフォルニアでは人口密度があまりにも違いすぎるし(ましてやディズニーランド!)、人ごみの中でウイルスを避けることは不可能です。新型インフルエンザの大量同時感染が起こったメキシコとの境界に近いというのも大変気になります。今頃、校長先生とウクレレの先生、引率の親たちとで大会議だな〜、こういうケースの場合マウイの学校だとどう対処するのかな〜などと半分心配、半分興味津々で、成り行きを傍観体制。 一言で旅行と言っても、この旅行の為に子供たちはウクレレの楽曲約13曲を練習し、選ばれし女の子はフラを練習し、アロハシャツのユニフォームをそろえ、旅行費用捻出の為に11月頃からお菓子やソーセージを売ったり、学校で夕食付きの演奏会を開いたり(スパゲティ、サラダ、ガーリックトーストの夕食をつくって売ります)、生活中古品のバザーや洗車サービスなどをして旅行資金集め活動をしてきました。(こちらではこのような資金集め活動を Fund Raisingと言い、特に子供のスポーツチームなどが試合遠征費用や試合のエントリー代金、ユニフォーム購入代金を捻出する為に、このような活動をせっせとするのです。できるだけ親の金銭的負担を少なくする為にも自ら働き努力するという行動姿勢でもあります。) 私の娘はまだ中学2年生ですが、中学3年生の子供たちにとっては最後のウクレレ演奏旅行です。このようなことを考えると、この旅行が中止になるのは心理的被害的には大きいものがあります。

早々に先生からきた通達は、
(1)現時点においては旅行は決行します。インフルエンザは感染しても症状は軽いということ、カリフォルニアにおいても危機的警告的な状態になるほどの大量感染は起きていないという状況が明白である為です。そしてさらに現時点でキャンセルをしても旅行代金は戻ってきません。空港が閉鎖されない限り、旅行代金(特に飛行機代)の一部が返金されてくる可能性はありません。 
(2)旅行は決行しますが、この状況においてお子様を参加させるか否かの最終的な判断はご両親におまかせします。もし不参加の場合にはすぐに知らせてください。

事実情報だけに基づいて判断し、かつ最終的な判断選択は親に委ねた、冷静かつかなり事務的な対処だと思いました。 何かあっても学校のせいにしたり校長先生のせいにしたりというような責任おしつけ集団ではなく、あなたの子供のことはあなたが責任を持って判断してくださいというアメリカ的な個人主義がよくわかりました。 そうです、自分のことは自分で決めて、自分で決めたことには自分で責任を持つということです。ここまで明確なほうが、自分はどうするかその時点で真剣に考えるし、ほかの人に流されて自分の意思かどうかわからないうやむやな判断をすることもありませんから、あとで人のせいにすることもありません。なるほど。。。

(さて、ここまでは長〜い前置き)

 

そのようなわけで、娘は喜んでカリフォルニアへでかけて行き、初めてのアメリカ本土でディズニーランドでも思いっきり遊んで、帰ってきました。 マウイとはあまりに違う世界でありなんでもある大都会、”マウイはなんにもない、なんでもあるカリフォルニアに住みたい” なんて言い出すんじゃないかと思いながら、”カリフォルニアどうだった?”と聞くと、けっこう予想外な答えが返ってきました。

”ディズニーもショッピングセンターも楽しかったけど、カリフォルニアは日本と同じで空が青くなかったよ。夜空なんてもっと最悪だったよ。”  ”夜、星見えなかったの?”  ”星は、ディズニーのスペースマウンテンの中でしか見えなかったよ(笑)”  
 
 

夜遅く、ノースショアホキーパの先、街灯もセンターラインもなにもない真っ暗な谷をゆっくり注意深く運転していると、誰もいないはずの真っ暗な景色の中で何か動くものが視界にはいっています。星がちりばめられた宝石箱のような空に、ひとすじの光が目的地にでも向かってまっすぐと元気よく突き進むように動いています。流れ星? 流れ星はたいがいまばたきをしている間に消えてしまうはずなのに、まだ動いています。しかも細字ではなく太字の銀白色のサインペンで誰かが意思を持って線を書いているかのようなはっきりくっきりとしたライン。その間たぶん約6秒位でした。そして空の暗闇に吸い込まれるように消えました。 やっぱり流れ星でした。 (6秒ってけっこう長いです。私は声もだせずに、その状況を伝えようと助手席にいる息子の肩を強くたたきまくっていました。) 今まで見た流れ星の最長時間記録です。

バスケットボールの練習をしている息子をいつも夜9時30分頃に迎えに行きます。ハレアカラの裾野アップカントリーにある学校は、夜は街灯もなく真っ暗で、星の光だけが輝いています。あまりにもきれいでずーっと上を向いて眺めていると、自分の心も身体も吸い込まれそうになってきます。

ワイレアのゴルフコースで夜行われた屋外映画上映会(マウイフィルムフェスティバル)へ行きました。バスケットボールの映画を見に、息子のバスケットボールチームにくっついて行きました。映画上映の前に、HAPAのミニコンサートがあり(HAPAは本当にローカルボーイでマウイの自然と文化に感謝しているのが素直に伝わってきます)、主催者のあいさつがあり、さていよいよ上映という時に、照明が約5秒位すべて消えました。その瞬間、すきまがないほどのいろいろな明るさの星がちりばめられた夜空が、頭の上からウワーっと降ってきて私の身体全体を包み込みました。その瞬間、私は星の宝石箱の中にいました。 こんなに美しい贈り物を届けてくれる自然の神様に感謝しました。

マウイでは当たり前のようにほとんど毎晩、星の宝石箱が見られます。 こんな当たり前のことが、実はとっても感謝するべき特別な贈り物であり、マウイはとてもスペシャルな場所なのだということを、マウイ生まれの娘のレイがマウイを離れてほかの場所へ旅行をして気づいたことでした。

青い空のもと青い海と白い砂浜で昼間存分に遊び疲れ、夜はお部屋でゆっくりしたりレストランへ美味しいものを食べにいったりと屋内で過ごしがちですが、ハワイに来たらぜひぜひ夜空を見上げてみてくださいね。 
 

(追伸その1:普通だったらここで夜空の写真がはいるのが常道ですが、写真ではとてもその美しさを見せられません。マウイにハワイにカウアイ島にきて=要は夜の繁華街やワイキキ以外という意味です= 肉眼で見てください)

(追伸その2:ある1人を除いて、全員旅行参加しました。参加しなかった1人は、旅行の3週間前に学校で悪さをし反省室へ送られ3日間の停学となった為、旅行参加できませんでした。 その学期中の校外行事や遠足には自動的に参加できなくなる情け容赦言い訳なしの学校ルールです。

(追伸その3:心配された新型インフルエンザには誰も感染せず、全員元気に旅行から帰ってきました。 しかしながらディズニーの乗り物で、手足をつきだしてディズニーの係員から怒られた男の子たちがいて、その日その子たちは部屋に戻って反省文を書かされたとのこと。 結局、この旅行の心配の種は、新型インフル以外のことばかりでした。